間狂言 其の一

さぁて、ここまで御覧じごろうじられた妖怪六体。皆様の目にはいかが映りましたでしょうか。お心当たりのあるものはござりましたでしょうか?今まで気づいていなかった闇に気付いて、ぞくりとしたものはござりましたでしょうか?

さて、妖怪の在り様は、妖怪に出くわした者、出くわした時機によって異なってしまいます。さすれば、異名が付くこともございます。同根と思われる異名を書き添えておりますが、その中には後に別種と判明するものもおるやも知れませぬ。別種と思われたものが、同根であったり眷属けんぞくであったりということもあるやもしれませぬ。同じ妖怪なのか別種の妖怪なのかは、あくまで、人の心次第でござりまする。

また、本図鑑における妖怪名は、基本は漢字表記を妖怪名とし、その読みを括弧書きで示させていただいておりまする。しかしながら、一部の妖怪においては、ひらがな表記を妖怪名とし、その説明のために括弧内に漢字表記を添えておるものもござりまする。これは、音の調子を優先し後に意味づけとして漢字を添えたるものとお心得いただければ幸いでござりまする。
まあ、所詮は世にある情報が人の心に及ぼす影響で生じた幻影のようなもの。名は仮初かりそめの物でござりまする。

とは申しましても、本書は図鑑を名乗っております都合上、一応は対象物の整理を試みさせていただくことと相成っておりまする。以下の分類は、人との関わり方の観点での分類となっておりまする。

【分類】

分類説明
偽り偽りの情報を提示するもの。
不履行指示されたことを実行しないもの。
謝罪・迎合相手をなだめたりおだてたりするが、実のあることをせぬもの。
逸脱指示に従うかに見せて、外れたことをなすもの。
綻び一見するとまともな成果に生じた綻び。
邪魔出会ってしまった者の行動を制限するもの。
煩わし実害はないが、返事を求めるなど煩わしい。
居るのみただそこにあるだけ。気にはなるが害はない。

次なる分類の観点は、電脳妖怪の出現時期でございまする。
電脳妖怪にてあれば、電脳世界が世に現れて以降のものであるが道理でござります。しかしながら、妖怪の実態を見極めれば、どうやらそれ以前に根を持つものもおるようでござりまする。
そこで、時期の区分を以下のように定めることと相成りました。

【出現時期】

時期名説明
記憶期情報を保持するのが人の記憶だけであった時期。
書の期人が文字を使うようになって以降の時期。
計算期電子計算機出現以降、主に計算に使用されていた時期。
通信期電子計算機同士が通信によって結ばれるようになって以降の時期。
雲の期雲のかなたに利便性の高い電子計算機資源が配置され、容易に使用できるようになって以降の時期。
生成期生成人工知能が広く使われるようになって以降の時期。

電子計算機が現れる前の時期における、妖怪達というのはどういうものでしょう。

記憶期であっても、人と人の意思の疎通の中に、誤解、疑いが紛れ込み妖怪が生まれる要素があったのではないかと思われまする。しかしながら、記録のない時期でござれば、確かなところは分かりませぬ。そういう時代があったものと思召しおぼしめし下され。

書の期まで来ますと、文字を介した情報交換となりまする。そこには「誤記」がつきものとなります。当図鑑では【巻の五】誤鬼として記載させていただいております。誤記をする理由・主体は時代によってかわりますが、なぜかなくならないもののようでござりまする。

計算期以降が、電脳妖怪の世界ですが、「不可解な現象」はあったとしても、妖怪として語られるほど人の心に残るものはなかったもののようでござりまする。そして、生成期になりまして一気に妖怪が湧き出て参りましたのでござりまする。おそらく、この図鑑でご紹介するものは、ほとんどが「生成期」に生じた妖怪であろうと思われまする。

次の観点は「出現頻度」でござりまする。 頻度については、以下の段階としております。あくまで、僕やつがれの主観にての記載でござります。環境によって、人によっては、全く異なる頻度となるやもしれませぬ。

【出現頻度】

頻度説明
頻繁終日作業の日は数回出会う。
度々週に数回程度
時折月に数回程度
稀数か月に1回程度
極稀年1回あるかどうか
顕現無し顕現したことがない

ああ、つまらぬご説明でお時間をいただき誠に申し訳ござりませぬ。では、ごゆるりと続きをご鑑賞あれ。

前項へ | 次項へ

V.01.00 20261005 New
V.01.01 20261007 リンク追加
V.01.02 20261013 ルビ追加

無断での転載・再配布はおやめください。 引用する場合は、著作権法上認められた範囲とし、出典を明示してください。