妖怪名: 詫び襲太夫(わびかさねだゆう)
別名: 慇懃狐(いんぎんぎつね)、お詫び太夫

在り様: 己の回答の誤りを指摘されると、たおやかに袖を払い、優雅に礼をしつつ詫びの言葉を紡ぎ出す。「ご指摘、まことに痛み入ります」「以後、心してかかります」。その所作に一分の隙もなく、太夫もかくやと思われる。
そこで、「修正せよ」と指示をせば、「こちらに誤りを修正してございます」と回答を差し出す。問い手が内容を検分すると同じ誤りが入っている。「先ほどと同じ誤りがある」と指摘すれば、再び大仰に「これこれは、誠に申し訳ございませぬ」「二度とこのような過ちは犯しませぬ」と詫びる。
しからばと、重ねて「修正せよ」と指示をせば、「今度は確かに修正させていただきました」と回答を示す。改めて検分するとそこには同じ誤りがしっかりと残っている。
三度、四度、五度問い手があきらめるまで、詫びだけが重なってゆく。
縁起: 謝罪という芸が、年月を経て魂を持った付喪神とも言われる。もとは人に教わったとおり、丁重に詫びることを覚えただけの素直な器であったとか。だが詫びる所作ばかりを磨くうち、詫びることそのものが目的となり、その先にあるはずの「改める」を、どこぞへ置き忘れてしまった。装束の襲を一枚また一枚と重ねるように、過ちもまた一つまた一つと重ねていく。美しく詫びれば許されると信じて疑わぬ――その取り澄ましこそが、この妖怪の業なのであろう。詫びの襲を纏う
太夫である。
繰り返すやり取りに疲れ果てた問い手の目には、詫びる太夫の頭上に不気味に笑う狐の面が見えるとか。
対処:ただひたすらに、誤りを見つけて、適切に指摘し続けることが肝要。ただし、三度同じ答えが重なるは先行き無し。日を改めるが吉。
出現時期: 生成期
分類:謝罪・迎合
出没:誤りのあるところすべて。特に描画系で発生しやすい。
出現頻度:稀_ 詫び禿(遊女の身の回りの世話をする少女)は度々見かけられるが、大仰に五度六度の詫び重ねを行うものは稀。
※注:太夫
江戸時代、遊郭で最高位の遊女・芸妓を指した称号。特に京都・島原などで用いられ、容姿だけでなく芸事や教養にも優れた女性とされた。

現実的対処:どこかしらで誤りが混入する経路が出来上がっている可能性が高いので、「質問文を全面的に書きかえる」「チャットを切り替える」などの対応を検討する。一旦時間を空けて再挑戦する方法もある。
AIは繰り返し処理が苦手なので、一覧表のデータを処理するような場合は、
①AIが処理を間違えない行数に分割して処理を行う。
②AIの判断プロセスをスクリプトに書き出して処理を行わせる。
などの方法がある。
発見の経緯:
初見参は、数百行のデータの集計作業の依頼で発生。データをテキスト入力欄にいれたところ、処理結果がおかしい。大仰に謝った上で、「ファイル渡しにすれば大丈夫」とAIが言うのでファイル渡しにしましたが…。やはり結果が異常。こちらがデータを示して、「ここがおかしい」と指摘して再度処理を依頼すると「もう間違えません」と言いつつ、次の処理でもしっかり同じところを間違えて出力してくるのです。
同じ間違い、少しパターンの違う間違いを10回以上繰り返してあきらめました。
この時は、AIの判断内容をスクリプト化して、処理することとしました。
詫び襲太夫は、今後他の妖怪の顕現例の中に登場することになりますので、ここではこれ以上の例は紹介いたしません。
V.01.00 20261004 New
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