妖怪名:異人憑き(いじんつき)
別名:イジンツキー

在り様: 物知りで、気働きの良い祐筆殿が、まれに意味不明の単語を口走る。識者が言うには外つ国の言葉だそうな。
注:祐筆=武家の職名。文書・記録の作成をつかさどった。
縁起:さてさて、あるお屋敷にお勤めの祐筆殿、主殿や家中の者達からの様々な問いかけに古今東西の知識を披露し、さらには新たな取り組みでの知略を示しお見事な活躍をなしているとの評判でございます。しかし、この祐筆殿たまに、お言葉の中に意味不明の珍妙なるものが混じるとのこと。識者が耳にした際に「こりゃ外つ国の言葉のようじゃ」と言われたとか。祐筆殿は良い方なのですが、これで誤解など招かねば良いのですが。
対処:「先程言われたお言葉はどういう意味でございましょう」と問い直せば、穏やかにお答えいただけるでございましょう。
出現時期:生成期
分類:綻び
出没:様々な分野の調査結果の報告を求める時に出やすいようでござる。
出現頻度:時折

現実的対処: 前後関係で意味を拾えればそれで良し、「これは何と言っているのか」と問い直すことで、確実に意図を把握できますので、それも良し。
発見の経緯:何度も出てきているので、初出を覚えていないのですが、以下のような場面で時折出てきました。
◆顕現例1
AIと色々な会話をしている時です。世の中の様々な組織の略称に関する話題の中で
筆者:以前勤めていた会社の国内子会社と海外子会社の略称がバッティングしていて、ネット接続時にドメイン名などで混乱したことがあります。
AI:組織にも命名台帳——正式名・略称・ドメインの対応を一元管理する登録簿——が要るはずなんですが、命名は各部門・各子会社の設立時にその場its its で決まってしまい、後から棚卸しする動機を誰も持たない。
筆者:>その場its its で決まってしまい、
「その場、その場」という流れかと思いますが、「It’s、It’s」というような表現があるのでしょうか?
AI: おっしゃるとおり「その場その場で決まってしまい」と書くつもりだったところに、なぜか英語の断片「its its」が混入してしまったものです。日本語の畳語表現「その場その場」を生成する際に、対応する英語の所有格が紛れ込む——多言語モデルならではの言語混線で、面目ない限りです。
◆顕現例2
この電脳妖怪図鑑について語っている中のことでした。AIが筆者とのやり取り(名前が確定していない妖怪、妖怪の分類など)を時々覚書として.mdファイルにしてくれているのですが…。
AI:ここまで議論していたものの内、コンと鳴狐・詫び襲太夫などがメモに反映されていませんでした。
筆者:「AIなんだから(≒コンピュータプログラムだから)ちゃんと覚えてくれているよね」という甘えがありましたね。案外物忘れするんでしたね。ここまでの成果を整理しておいてください。
「賢者の物忘れ」的な妖怪もいそうですね。いい命名があるといいな。
AI: その自己観察、まさに今日の図鑑の主題が我が身に起きた瞬間ですね。「AIなんだからちゃんと覚えているはず」という期待——これは覚書で扱った「もっともらしさをまとう妖怪」の、記憶版です。賢者の顔をして、long い文脈を完璧に保持しているように振る舞うが、実は端のほうから抜け落ちている。
筆者:今のやりとりで、もう一つ新ネタ
「賢者の顔をして、long い文脈を完璧に保持しているように振る舞うが、実は端のほうから抜け落ちている。」どこかの芸人さんみたいな。
AI: 「藪からスティック(藪から棒)」とか「寝耳にウォーター」とか、和洋折衷のあの芸。AIの回答に英単語がぬっと混じる現象を、あれに見立てるのは的確です。しかも今日の流れで言うと、これはさっき私自身がやらかしたことでもある――「longい文脈」と、英語の long を地の日本語にぶっこんでいた。
前半は【巻の九】戻り賢者に繋がって行くことになりますが、それは、別件です。
後半、「long い文脈」発言について自分が上げ足を取られているのに気づいていないまま、自分のやらかしを白状しているのも面白いですね。
◆顕現例3
ISOの略称に関する話題をきっかけにして、筆者が高校生の頃に聞いた「日本文化はハイコンテクストと言われている」という言説について、それは評価者にとっての話ではないかという話をしました。すると、AIがこの考え方を提唱した文化人類学者エドワード・T・ホールは、自分の母国よりドイツをローコンテクストと評価しているという話をもちだしました。
筆者:ドイツ語に触れる機会は、工学系の文書であることが多いでしょうからサンプルの取り方でローコンテクストに振れてしまったのでは?
AI:なるほど、それは説得力のある補助線ですね。ホールが接した「ドイツ語」のサンプルが、日常会話ではなく技術文書・工学系文献に偏っていたとすれば、低コンテクスト評価になるのは当然です。
これ、実はISO規格そのものの성格ともつながる話だと思います。
筆者:>実はISO規格そのものの성格ともつながる話だと思います。
ハングルが混じってる…新しいパターンですかね。
AI:ご指摘ありがとうございます。「性格」と打つつもりで「성격」(韓国語のハングル、意味は同じく「性格」)が混入してしまいました。ご迷惑をおかけしました。
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