•最小権限の原則
システムにおける全てのプログラムと全てのユーザーは、そのジョブを完遂するのに必要な最小の権限セットを使って動作すべきである。
ジェローム・サルツァー,マイケル・シュローダー, “The Protection of Information in Computer Systems,” 1975
J. H. Saltzer and M. D. Schroeder, “The Protection of Information in Computer Systems,” Proceedings of the IEEE, vol. 63, no. 9, pp. 1278–1308, Sept. 1975. DOI: 10.1109/PROC.1975.9939
https://web.mit.edu/saltzer/www/publications/protection/
※「最小権限の原則」はこれ以前からあったと言われていますが、詳細については、「トピック:最小権限の原則の起源」でご紹介させていただきます。
[解釈]
不必要な人を認証対象として登録しない。
登録した人への認可は業務上必要最小限の範囲に留める。
対象は、「人」だけでなく「プログラム」も含めて考える。

情報セキュリティを守る上での重要な基本です。
※別項でご紹介する「認証」「認可」はこの「最小権限の原則」を実現するための手段の一部と考えられます。
「最小権限の原則」は、対象となるシステム・環境に合わせて調整が必要。
状況によって、実施事項、効果は異なります。
一般的なITシステムでのリスク想定と「最小権限の効果」を以下の表に整理してみました。
| 対象 | 想定リスク | 最小権限適用の効果 | ||
| 事象への効果 | 事象対応への効果 | |||
| 対象の持つ権限内 | 対象のもつ権限外 | トラブル対応 | ||
| 人 | ①悪意ある権限を持った要員による不正操作 | 「間接的抑止」 権限内の実行は止められないが間接的抑止が期待できる※次項で解説 | 「阻止できる」 権限外の実行はできないため。 | 「原因特定が容易になる」 問題を引き起こす可能性がある対象が限定できるため。 |
| ②要員の(悪意のない)誤りによる不正操作 | ||||
| ③想定しない出来事により権限を持った要員が状況を誤認することで意図せず不正操作となってしまう | ||||
| ④権限のある要員に成り済ました悪意あるものによる不正操作 | 「効果なし」 権限内の実行は止められないため | |||
| プログラム | ⑤悪意を持って作られたプログラムに権限を与えてしまった結果の不正動作 | |||
| ⑥権限を与えられたプログラムが(悪意なく)誤動作した結果の不正動作 | ||||
| ⑦想定しない出来事により権限を持ったプログラムが接続すべきでない相手先に接続してしまい意図せず不正操作となってしまう | ||||
| ⑧権限を与えられたプログラムが悪意ある者に乗っ取られた結果の不正動作 | ||||
•間接的な抑止効果:以下は筆者の持論

ここまで、最小権限の原則について語ってきましたが…。
•しかし、実運用上厳密な運用は困難なのが現実です。
認可情報を細かく設定すると
利用部門:変更発生が多く申請や設定変更が遅れがちになる。
システム運用部門:受付・処理の負荷が大きくなる。

セキュリティ上の要請とシステム運用負荷のバランスをとって運用する必要がある。
例1:しばしば、担当が変わるような場合は、課レベルでのアクセス制限で良しとする。ただし、部門間異動に際しては速やかに設定変更を行う。
例2:ある業務では、同僚間で「作業者」「承認者」の役割を分担している。役割変更にシステム上の設定変更を伴う。システム部門の運用負荷を考えて、役割の変更は1か月以上間を開けることにする。
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